定時制高校の日々 2021年6月4日(金)

私は定時制高校で働いている。
かつては勤労青年の学びの場であったのだろうけれど、今の定時制の生徒は、中学時代に不登校を経験していた生徒や、日本語に不自由な外国籍生徒など、勤労とは異なる理由で全日制への進学を断念した生徒が多い。うちの高校だけではなくて、おそらく全国の定時制高校がそうなのではないかと思う。

定時制は四年制で、うちの高校では外国籍の生徒のほうが日本籍の生徒よりもやや多い。

外国籍生徒の中には、日本語の読み書きは難しいけれど会話はできるという生徒から、日本語がまったくと言ってよいほどわからない生徒までいるが、学習言語の理解はほぼ全員が困難である。

うちの高校では、(主要教科においては)1・2年生に限って外国籍生徒と日本籍生徒を分けて授業をおこなっている。
ただ教員数が少ないので、同時に同じ教科の授業は行うことができない。
例えば月曜日の1限目が国語だとしたら、日本籍生徒に国語の授業を国語の教員が行い、その裏では、外国籍生徒に、たとえば理科の教員が理科の授業をおこなっている。
本来なら、国語の時間にはそのまま時間割り通りに外国籍生徒にも国語の授業を行えればよいけれど、各教科に複数の教員がいるわけではないのでそうはいかないのだ。
理科の授業といっても、外国籍生徒は日本語の教科書は読めないし、会話でさえおぼつかない生徒が多いので、実際には理科(のような話題)で日本語を教える、という感じ。

いろいろ問題はあるだろうけれど、とりあえず、外国籍生徒を「お客さん」にすることなく、最大の課題である日本語習得にはいちばん良い方法なのではないかと思う。

生徒は日本籍も外国籍も、みんな総じておとなしい。そして特に日本籍の生徒においては、ひとりでいることを苦痛としないし特別視もしない。これは私にはちょっとした驚きだった。

私は1年生の現代社会、2年生の世界史、3年生の日本史を担当している。
先に書いたとおり、1・2年生は日本籍と外国籍の生徒を分けて授業をしているのでそこに大きな困難はないのだけれど、問題は3年生の日本史。
まず外国籍生徒は教科書が読めない。すべての漢字にふりがなをふれば、ゆっくりゆっくりひらがなを読み上げることはできるけれど、意味は理解していない。

この合同授業で、私は毎回落ち込み、考え、とにかく試行錯誤している。

最近、NHKの「プロフェッショナル」という番組に、外国籍生徒に日本語を教えている夜間中学の先生が取り上げられていた。
その中学では1年生の間は、外国籍生徒だけを別にして日本語を教えているらしい。生徒はひらがなの読み書きも難しい子(大人も)ばかり。
でもほんとうに大変なのは、その生徒たちが進級して日本人との合同授業になったときだと思う。

私の試行錯誤の毎日を、少しずつ記録していこうと思う。