『女子少年院の少女たち』中村すえこ

読み始めて、あっという間に読み終わりました。
少年院に送致された4人の少女へのインタビューをもとに構成されていて、出てくる少女たちは概ね想像できる生い立ちをしていました。
ただひとり、パパ活・ホスト通いでホストに600万円貢いだという女子高生の美和は、筆者もいうように「新人類」だと思いましたが…。
想像できる生い立ち、というのは、彼女たちはほぼ、ネグレクトにあってきたということです。
「加害者である前に被害者だった」「クスリと男はセット」。その通りなのだろうと思います。
少年院へ送致される少女たちは、ほぼ全員が虫歯だということからも、歯を磨くという当たり前の生活習慣のない環境にあったことがわかると書かれています。
自己責任とか、親が悪いとか、そう言うことはできても、その指摘だけで誰も寄り添わなければ彼女たちは救われません。
私自身、もし自分に安心して生活できる家がなかったらと考えて、彼女たちの苦しみが想像できました。
絶対的に自分を大事に思ってくれる存在であるはずの親から見捨てられ、時には虐待され…。
「普通」がどんなものかを知らないから、「普通」であることを要求されてもわからない。子どもは親を選べないのですよね。望まれて生まれてきて、愛されて育てられた私は、ただただ幸運だったのだと思います。
筆者も書いているとおり、「本当にきれいごとかもしれないが、人が立ち直るには『愛』が必要なのだと私も思う。」きれいごとではなく、ほんとうにそう思います。

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