壮大なお話でした。
帯のコピーには「樺太アイヌの闘いと冒険を描く前代未聞の傑作巨編!」とあります。
そうなのです。
確かにそうだと思うし、感動しました。
でもいまひとつ深まらなかったというか…。
とにかく登場人物が多すぎるのかも。それも主役級の。「主人公」が多すぎるといえばいいのかな。
一応、ヤヨマネクフが主人公だと思うのですが
個人的にはブロニスワフを主人公にしたほうが良かったと思う。
途中からはすっかり彼を主人公として読んでいたので、彼が妻子と別れることを決意した心の動きとか、彼の最期とか、その辺りがあっさりしすぎてて物足りなかったです。
ヤヨマネクフもいつの間にか死んでたし。
終章に登場した源田だって、むちゃくちゃ主役級だと思いました。彼を主役にしても良いし。
そんなふうに、主役がいっぱいいて、だから壮大といえばそうなのですが、もっと深く丁寧に掘り下げてほしかったかな、と思いました。
でも、時代に翻弄される人々の苦しみが胸に迫りました。ポーランド人もアイヌも、自分たちのくにを失った人たちです。
時代に飲み込まれたと言ってしまえばそれまでですが、アイヌの生き方や文化や彼らの伝統を、低俗と見る和人の愚かさが腹立たしくも悲しくも思いました。
みんな幸せに生きたいだけなのにね。