『ミッション建国』楡周平

本作品はフィクションであり、実在する人物・団体・事件などにはいっさい関係がありません。

とあるけれど、主人公の甲斐孝輔は小泉進次郎だし、多賀谷重次郎は中曽根康弘だし、他のこの人もあの人だわね。

日本の行く末を思い、心底不安になるお話です。なんとかしなければと。

少子化の問題は、読んでいて心が痛くなりました。私は産めなかった口だから。
これは単に、自分がぼ~っと生きてきて、出産適齢期を過ぎてしまったから。

少子化の解消には、とにかく婚姻年齢を下げるか、結婚しなくても堂々と子どもを産める社会にするか、もしくはその両方だと私は思うのだけれど、選択的夫婦別姓制度でさえ成立しない国なのだから、未婚の母の奨励なんて、どれだけハードルが高いことか…。

公共事業への問題提起には大いにうなずかされた。
ほらほらやっぱりリニアはだめだよ!と思わず声に。

納得するところはたくさんあったし、ぜひ取り組んでほしいとか、実現してほしいと思う政策もたくさんあったのだけれど、終始登場人物の会話だけで成り立っていて、小説としての魅力にやや欠けました。

そしてこの作品が産経新聞に連載されたのが2013年から2014年にかけて。
だから東京オリンピックの開催の決定と、オリンピック後の景気懸念も、話の大きな筋として登場します。
けれどまさか、そのオリンピックが直前に延期となり、世界恐慌の暗雲がたちこめる事態になるとは、誰も予想しなかったことでしょう。

東京オリンピックは、このまま中止になる公算が高いと私は思っています。
日本経済は予想よりうんと早くに行き詰まることになるのかもしれない。
自身の保身だけでなく、未来のためにやらなければならないことに取り組む。私もその一人でありたいと思う。

とりあえず、私は子どもを産めませんでした。
早くに子どもを産んで育て上げて、第二新卒として働くという道が当たり前の選択肢になってほしいし、そういう道があることに気がつかなかったことが悔やまれます。

未婚の母、私はうらやましいですよ。

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