図書館で借りたままずいぶん放置してました。
ちょっと読みはじめては中断…。
でもやっと読み終えました。
つまり私には、夢中になってページをめくる、という小説ではなかったのですが、
読んで良かったと思える作品でした。
とても悲しいお話です。
その時間のなかを、寂しさと孤独を抱えながら静かに生きるヤーノシュ。
彼にとって、ステファンの存在が唯一の救いだったと思うのだけれど、
ステファンには思いを寄せた女性がいて。
その女性と大切なミハイとの子孫を守ることが、ステファンにとっての生きる意味になっていたのだろうと思います。
ほとんどがヤーノシュ側で書かれているので、ステファンの思いがわからないのだけれど、そこにさらにヤーノシュの孤独が突き刺さってきます。
なんというか、静かだけれど熱いお話なのです。
オスマン帝国のイエニチェリとかデウシルメとか、世界史のちょろっとした知識しかなかったので、
世界史資料集と地図帳をそばにおいて読みました。
勉強した感じです。
それと、スルタンに仕える立場として去勢されてしまうというのは、中国の宦官だけでなくオスマンにもあったのだと初めて知りました。
私が知らないだけで、他の国にもあるのでしょうか?
宦官を習ったときには、皇室の女性と間違いがあってはならないから、というふうに習ったし、そうだと思ってました。
でもそれだけではなく、家族を持たせないため、という理由には、なるほどなぁと思いました。
結婚し、子どもを持ち、家族をつくったら、スルタンへの忠誠心より家族のほうが大事になってしまう。イエニチェリが弱体化したのは、結婚が許されるようになったから、というのは確かに納得できます。
キリスト教徒とムスリム。
キリスト教徒の見目麗しい少年を、ムスリムに改宗させてイエニチェリにした、という世界史の教科書レベルの説明が、何度かとても薄っぺらく感じました。
最後のエピローグは、私にはわからなかったです。
私はハッピーエンドが好きなのですが、このお話はハッピーエンドともバッドエンドとも言えない感じでした。
それと、帯にある「美しき少年兵の叫びが奇跡を起こす。」って、なんですかそれ?
まったく内容に関係なくて、意味不明です。変なの。