『アウシュヴィッツの歯科医』ベンジャミン・ジェイコブス

読み終えるのに時間がかかりました。
特に前半。
なんか、同じような描写が続いて、遅々として話が進まないというか…。
半分を過ぎたくらいから、ようやくさくさく読めるようになりました。

これが現実のこととは、本当に信じられないです。
この著者が生還できたのは、奇跡としか思えない。
彼に歯科医としての技術があったから、さまざまな便宜が図られたとはいえ。

著者はもともと、自らの体験したことを聴衆に話していたそう。ところが喉頭がんを患い、声が出せなくなる可能性から、この本を書くに至ったとか。
病気になったのは残念なことだけれど、それが本書を生むことになったのだとしたら、結果的には良かったと言えるのでは。
書いたものは残る。

カップ・アルコナ号の沈没のことなど、初めて知った。途中、何度もやめようと思ったけど、読んで良かった。

残念なのは、私が横文字の名前を覚えられないこと。登場人物がたくさんいて、誰が誰かわからず…。巻頭か巻末に、登場人物の紹介一覧があれば良かった。

それにしても、何十年も昔の記憶を頼りに、よくここまで書けたものだと思う。
書いたものは残ります。
この先、実体験を書いた本が増えることはないでしょうから、本当に貴重なものだと思います。

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