『ゆうじょこう』村田喜代子

貧しいというのは辛いことで、学問がないからそこから抜け出す術も知らない。
借金のかたに遊女として売られた娘の話。
と書くと、なんだかすごく悲しい話だと思うのだけれど、この主人公は無邪気で健気でなんだか明るい。

鐵子さんがいい。
売られてきた娘たちに読み書きを教える先生。鐵子さんが福沢諭吉の言うことに疑問を持つところには共感した。所詮当時の男なんて、女は男に仕える者としか思ってないのだと思う。

GHQの占領時に、日本の女性を守るために性の防波堤とやらを準備した話を思い出した。貧しい女は、どんな目に合わせられても構わない存在なのね。というか、人間と認識されてないのね。

主人公がもっと成長するお話かなぁと思っていたけれど、そこはよくわからなかったです。
クライマックスはなんだかあっけなかったなぁ。

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