大丈夫じゃない大丈夫

朝保健室に入ってくるなり、
「事故した~」
と足を引きずりながら言う女子生徒。

事故?
聞けば通学途中、自分の自転車に乗用車がぶつかったのだという。
ええ~っ?!

「で、相手の人は?」
「わからん」
「え?ひき逃げ?そのまま行ってしもたん?」
「ううん。『大丈夫?』って聞かれて、『大丈夫』って言うたから」

いや、大丈夫じゃないじゃん!
実際脚に怪我してるし!

「じゃあ警察には連絡してないの?」
「うん」
「相手の人の連絡先は?」
「『連絡先どうする?』って聞かれたけど、『大丈夫です』って言うた」

だから大丈夫じゃないって!

自転車のブレーキにも不具合は出たらしい。
「大丈夫?」と聞いて「大丈夫です」と言われたからといってそれで良しとする加害者も加害者・・・

とはいえ、これが小学生ならいざ知らず
相手は高校生。立派に判断できるはず。
連絡先の申し出もしたし、それでも辞退するのだから本当に問題ないのだろう、
と(都合良く)解釈したからといって、相手ばかりも責められまい。

それにしてもこの「大丈夫」は厄介な言葉である。
今の中高生は本当によく使うが、
「大丈夫?」と聞かれると、ほぼ条件反射のように「大丈夫です」と答えてしまう。

たとえそう言われても自動車を運転していた側が警察に連絡するべきだとは思うが。

しかし世の運転手諸君。
「大丈夫です」は実はぜんぜん大丈夫じゃない場合にも使われる言葉だとお知りおきください。