『義和団の乱』

松岡圭祐 『義和団の乱』 講談社

読みました。
とても分厚い本です。

義和団の乱って、世界史の授業で習ったけれど
中国の民衆反乱 とか
不死身と信じた無茶な戦い とか
さらに無茶なことに西太后がそれに乗じて列強に宣戦布告して敗れた とか
なんかちょろちょろと断片的な知識しかなくて、
アヘン戦争以降、中国が列強の食い物にされていく過程のひとつの出来事、

という程度にしか思っていませんでした。
太平天国の乱と間違えないようにしなきゃ、くらいの。

これは小説だから、史実とは異なるところがたくさんあるだろうし、
日本人の民族性を外国人が褒めるところとか
なんだかちょっと・・・と思ったりもするのだけれど
それでも心に響きました。

終わりを悟った張徳成が漢人キリスト教徒たちを前にした場面、
そして莎娜を助けるために彼らに彼女を託す場面では涙があふれました。

この小説は義和団の側と列強(日本)の側とを交互に描いていて
戦争に悪も正義もない、
どちらも死んでほしくないのにどうしてこんなことになるのだろうと、
そんな気持ちになりました。
戦争は互いを不幸にする。

冒頭の2017年のシーンに登場するエリック・チョウが張徳成の子孫であればいいのになあ
だったら救われるなあ
と思いました。