読書・書評

『アウシュヴィッツの歯科医』ベンジャミン・ジェイコブス

読み終えるのに時間がかかりました。 特に前半。 なんか、同じような描写が続いて、遅々として話が進まないというか…。 半分を過ぎたくらいから、ようやくさくさく読めるようになりました。これが現実のこととは、本当に信じられないです。 この著者が生還で…

『ゆうじょこう』村田喜代子

貧しいというのは辛いことで、学問がないからそこから抜け出す術も知らない。 借金のかたに遊女として売られた娘の話。 と書くと、なんだかすごく悲しい話だと思うのだけれど、この主人公は無邪気で健気でなんだか明るい。鐵子さんがいい。 売られてきた娘た…

『天涯の花』宮尾登美子

珠子がいじらしい。 ずっと自分を抑えて生きてきた子だから、彼女自身が心の底から幸せだと思える人生を選んでほしいとと思い、でもどうすることが珠子の幸せなのだろうかと、私も考えながら読みました。典夫はかわいそうだけれど、もし正式に結婚を承諾した…

中日新聞の「この道」

中日新聞(東京新聞)の夕刊に連載している、「この道」というエッセイ。今は西村京太郎さんが書いているのだけれど、これがとてもおもしろい。 十津川警部シリーズの推理小説しか読んだことがなかったけど、こんなにいろんなことをしていた人なんだなぁ。 今…

『沈黙の町で』奥田英朗

読み終わってからもなかなか感想が書けなかった。 中学生の学校での転落死から始まる話。とにかく中学生の集団心理がリアル。 私が中学生だったのはうんと前だけれど、今も同じなのだろう。死んでしまった名倉君は、あぁこれはいじめられるわ…、という典型的…

『帰郷』浅田次郎

夏休みに、戦争ものをたくさん読もうと思って借りた一冊。もう夏は終わってしまったけれど。短編集です。 表紙カバーの白黒写真がなんとも言えない。 表紙をめくって、そこに頭を下げる娘と少女を見たとき、知らないはずのその光景が、私の前にさあっと現れ…

『レディ・ジョーカー』髙村薫

上下巻、読みきるのに1か月以上掛かってしまった。 ちょっと読んでは休み、ちょっと読んでは休み、 なのに、終盤はものすごいペースで読みきった。今さらながら、「これ読んでなかったなぁ~」と思って読み始めたのだけれど、こんな小説とは。髙村薫って、…

『マスカレード・ナイト』東野圭吾

さくさくさく~と、あっという間に読めてしまったけど、これはつまらなかったなぁ。仲根緑が男性というのが、登場したところからバレバレだったし、あっと驚く感が全くない。 そのくせ種明かしが、そんなん知らんがな!という感じの、推理のしようがない内容…

『校長、お電話です!』佐川光晴

学校のことをよく調べて書いているお話だなぁと思いました。 そういう意味で、現実離れしているわけではないはずなのですが、なんと言うか…正義は最初から最後まで正義で、悪者はずっと悪者、という感じがどうもしっくり来ないというか…。 主人公の校長先生…

『水曜日の凱歌』乃南アサ

RAAという組織のことを、私は知らなかった。高校時代、大学受験に日本史を選択した。 戦後史はほぼ独学で、図書館で教科書を読んでいたのだけれど、 戦前戦中は、治安維持法とか大政翼賛会とか隣組とか、とにかく人権なんかとことん無視で、 国のために命を…

『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

本屋大賞受賞作品ということで読んでみることに。なんか…ず~っとプロローグみたいな感じで、 いつ本編が始まるんだ…と思ってたら終わった感じ。 いくらなんでもファンタジーが過ぎる。 設定が漫画みたいで…。ここまで複雑な家庭環境におかれて、ここまで真…

『片想い』東野圭吾

読みやすさで言ったら、東野圭吾さんもそれは読みやすいですなぁ。 ということで読んでみることにしました。 そしてまたまた気づきました。これも読んだことある…。 ちょこちょこ記憶にあるフレーズが出てきたりするのだけれど、ほんとにちょこちょこで、ど…

『刑事の子』宮部みゆき

夏休みなのでたくさん本を読もうと思っています。 読みやすそうな一冊。ということで図書館で手に取りました。 宮部みゆきさんのお話は、本当に読みやすい。 で、読みはじめて「ん?」と気がついた。 多分、読んだことあります、これ。 タイトルは違ったと思…

『空飛ぶタイヤ』池井戸潤

遅ればせながら読みました。一気読み。 目は疲れるし、明日も仕事だし、でも止められないんだなぁ。 面白かったです。 悪人が悪人然としているところが、なんとも池井戸さんの作品らしい。 登場人物がひとりひとり表情豊かで、映画もドラマも観ていないけれ…

『帰還』堂場瞬一

三重県四日市が舞台だというので読んでみた。 おぉ~ 四日市とか津とか、ほんとに地元ネタ満載。それだけでおもしろい。というか、四日市も津も知らないという人がこれを読んでおもしろいのだろうか、とさえ思う。 ストーリー自体は、ミステリーだと思って読…

『きみの友だち』

重松清さんの有名な小説。 重松さんの小説には何度も泣かされてきて、これもまぁ・・・泣いたのですが、 なんか読後感が良くないというか・・・ どよ~んという感じがして 途中何度ももうやめよう、と思いながらとりあえず頑張って読み終えました。 でもやっぱ…

『義和団の乱』

松岡圭祐 『義和団の乱』 講談社 読みました。 とても分厚い本です。 義和団の乱って、世界史の授業で習ったけれど 中国の民衆反乱 とか 不死身と信じた無茶な戦い とか さらに無茶なことに西太后がそれに乗じて列強に宣戦布告して敗れた とか なんかちょろ…

チア☆ダン

「『女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』の真実」という本を読みまして。 映画化されて話題らしく、 しかも実話だというし、 学校の先生とか、部活とか、そういうものに興味があって読み始めました。 飛ばし読みでさささ~っと読めます。 …

蜜蜂と遠雷

恩田陸さんの小説。 直木賞を受賞したとのニュースに、読んでみようと思った。 手にとって、 ぶあつっ! しかも中を見てびっくり。 え~っ 1ページが2段になってる~ なんか翻訳本みたい・・・ で、読み始めたら。 おもしろい! ページをめくりたくてめく…

ランチのアッコちゃん

本屋大賞にノミネートされている作品だとか。 なので読んでみました。 さらさら~と読めました。 おもしろく、読みやすく、いいお話だなあと思ったけれど、 ちょっとだけ陳腐というか、 なんか子ども向けのおとぎ話みたいな感じがしました。 本屋大賞をとっ…

『ジェイン・エア』

『ジェイン・エア』。数日かけて読みました。 わたくし、この小説のことは全然知らなくて、映画化されていたことも知らなくて 最近読んだ林真理子さんのエッセー本の中で 自分くらいの世代の女性はかつてみんな読んで涙した、みたいなことが書かれていたので…

神去なあなあ日常

三浦しをんさんの小説『神去なあなあ日常』は、私の(ほぼ)地元が舞台です。 この小説が映画化されることになり、田舎町はその撮影で盛り上がっております。 頼子ばちゃんのそば屋にも、役者さんやスタッフさんが食事にやってきているらしい。 伊藤英明さん…

オニじゃないよ おにぎりだよ

絵本買いました。 「オニじゃないよ おにぎりだよ」 たーくさんの絵本の出版社がたーくさん出店しているイベントで 迷って迷って迷って迷って・・・ 最終的に購入したのがこれ。 ほんとは小学一年生のいとこの子へのおみやげようとして探していたのだけれど …

『インパラの朝』

中村安希さんの『インパラの朝』という本を読みました。 第七回開高健ノンフィクション賞受賞、という本だそう。 バックパッカーと呼ばれる人たちを、私は少し羨望の眼差しで見てしまうのだけれど 中村さんはかなり強烈です。 私にはこんなエネルギーも度胸…

『歓喜の仔』

天童荒太さんの『歓喜の仔』を読み終えました。 このかたの作品は、なんだか重くて、すいすい~とは読めません。 頑張って読みました。 最後は泣きました。 世の中は不条理にできている。 と、私は思います。 この三兄弟に安らぎをと、願いました。

『ハーバード白熱日本史教室』

すごく売れたというこの本、遅まきながら読みました。 ずいぶん前に新聞の書評欄で紹介されていて、読みたいなあと思っていたのです。 著者、若いです。 単純に、この若さでこのバイタリティで、ほんとにすごいなあ~と思いました。 でもなんだか、日本人じ…

檸檬のころ

豊島ミホ『檸檬のころ』幻冬舎文庫 図書館でたまたま見て、そのまま自宅で一気に。 さらさら~と読んでしまいました。 高校時代、学校が世界のすべてだと感じていた程度の自分には 懐かしくも、羨ましくも。 もっともっともっと、私にもいろんな高校生活が送…