定時制高校の日々 ~日本史授業リベンジ

昨日金曜日は3年生の日本史の授業の日。

私のいちばん悩ましい授業。

 

3年生は日本籍生徒が8人。外国籍生徒は7人。

そのうち今日は日本籍生徒がふたり欠席です。

 

今やっているのは、明治維新の文明開化。

前回、福沢諭吉と津田梅子と渋沢栄一を紹介したけれど、

いまいち反応が良くなくて(というか、反応がなくて)

今日はリベンジ。

 

福沢諭吉を紹介するのに、NHKの力を借りることにした。

www2.nhk.or.jp

 

事前にこの番組の内容をまとめたプリントを用意。

ここに出てくる「♪文明・カイ・歌」という歌の歌詞を全部書き出して、

その英訳も準備して配布。

それから視聴。

 

字幕もつけて視聴したけれど、おそらく外国籍生徒にはナレーションは聞き取れていないと思う。でも映像は目を引くのか、とりあえず日本籍・外国籍を問わず、画面を見ている生徒が多い。

最後にドキリポイントふたつ、

福沢諭吉は「西洋事情」で西洋の文化や考え方を広めた

②諭吉は「学問のすすめ」で学問の大切さを説いた

をプリントに書き写させる。

外国籍生徒には意味は通じていないかもしれないが、指示どおり書き写している。読めなくても意味がわからなくても、漢字を書き写すということが勉強なのだと思っているのかもしれない。

事前に配布したプリントを、時間を取ってしっかり読んでから視聴すれば良かったなあというのは、あとから思ったこと。

 

そのあと白地図(世界地図)を印刷したプリントを配って、イギリスを探させる。

外国籍生徒も日本籍生徒も、イギリスがどこかわからないので、机間巡視をしてひとりひとりにイギリスはここだよ~と言って回り、色をつけさせる。

それから、教科書に出ている19世紀末から20世紀初頭の地図を見て、イギリスの支配が及んでいた地域を色塗りするように指示。

この色塗りは実際にやってみるとわかるのだけれど、かな~り広い範囲を塗らなければならない。結構めんどい。でも誰も文句を言わずにせっせと色を塗っている。色ペンを持っていない生徒には私の蛍光ペンを貸した。

 

定時制に来て全日制の生徒とは違うなあと思ったことのひとつに、ペンケースを持っていない生徒が多い、ということがある。

全日制の生徒は、もはやバッグ?と思うような大きなペンケースに、じゃらじゃらとカラフルなペンを入れている生徒が多かったのだけれど、定時制では鉛筆一本だけ持って登校してくる生徒が少なくない。テストでも消しゴムを持ってこないので、書き直す際には鉛筆でぐちゃぐちゃと塗りつぶしている生徒もいる。今度消しゴムを持ってこなかったら正解を書き直してあってもバツにするからね!と言ってあるけれど、どうかな。

 

さて、そうして色をつけさせて、大変だったね~、インク減ったね~と話してから、

国土の小さな島国であるイギリスが、どうしてこれだけの広範囲を支配し得たのかと問いかけてみる。もちろん反応はなし。

外国籍生徒には私の問いかけの日本語は理解できていないかもしれない。

日本籍生徒には、「去年世界史の授業で勉強したこと覚えているかな~」と声をかけてみた。「ああ~、なんかやったなあ~」と返してくれる生徒がいて嬉しい。

 

まあ結局、それ以上なにも出てこなかったので、こちらから、イギリスが世界で最初に産業革命を成し遂げた国だったね~という話をする。さくっと説明をして(日本語は通じていないと思うけれど)、そのあと、イギリスの次に本国以外に広い支配地を持っている国はどこか、もう一度教科書を見せて探させてみる。

これには外国籍の男子生徒が「フランス」と答えてくれた。

 

イギリスやフランスといったヨーロッパの国々が、世界中に支配を広げていったこと、

日本も西洋に飲み込まれてしまうのではないか、そうならないためにはどうすればよいか、

福沢諭吉は、そのためには、ひとりひとりが学問をすることが大切だと言ったんだね、と確認して今日の授業を締めくくったのでした。

 

生徒に考えさせる授業はできなかったけれど、

NHK配信動画の視聴と、地図の色塗りという作業が大半を占めたせいで、

スマホを触る生徒や、居眠りをする生徒は少なかったと思う。

それだけでも、なんとなく「授業をした風」な感じにはなったけれど、う~む・・・

次の授業はどう攻めるか・・・、あ!次の日本史はさっそく月曜日だった。

定時制高校の日々 2021年6月4日(金)

私は定時制高校で働いている。
かつては勤労青年の学びの場であったのだろうけれど、今の定時制の生徒は、中学時代に不登校を経験していた生徒や、日本語に不自由な外国籍生徒など、勤労とは異なる理由で全日制への進学を断念した生徒が多い。うちの高校だけではなくて、おそらく全国の定時制高校がそうなのではないかと思う。

定時制は四年制で、うちの高校では外国籍の生徒のほうが日本籍の生徒よりもやや多い。

外国籍生徒の中には、日本語の読み書きは難しいけれど会話はできるという生徒から、日本語がまったくと言ってよいほどわからない生徒までいるが、学習言語の理解はほぼ全員が困難である。

うちの高校では、(主要教科においては)1・2年生に限って外国籍生徒と日本籍生徒を分けて授業をおこなっている。
ただ教員数が少ないので、同時に同じ教科の授業は行うことができない。
例えば月曜日の1限目が国語だとしたら、日本籍生徒に国語の授業を国語の教員が行い、その裏では、外国籍生徒に、たとえば理科の教員が理科の授業をおこなっている。
本来なら、国語の時間にはそのまま時間割り通りに外国籍生徒にも国語の授業を行えればよいけれど、各教科に複数の教員がいるわけではないのでそうはいかないのだ。
理科の授業といっても、外国籍生徒は日本語の教科書は読めないし、会話でさえおぼつかない生徒が多いので、実際には理科(のような話題)で日本語を教える、という感じ。

いろいろ問題はあるだろうけれど、とりあえず、外国籍生徒を「お客さん」にすることなく、最大の課題である日本語習得にはいちばん良い方法なのではないかと思う。

生徒は日本籍も外国籍も、みんな総じておとなしい。そして特に日本籍の生徒においては、ひとりでいることを苦痛としないし特別視もしない。これは私にはちょっとした驚きだった。

私は1年生の現代社会、2年生の世界史、3年生の日本史を担当している。
先に書いたとおり、1・2年生は日本籍と外国籍の生徒を分けて授業をしているのでそこに大きな困難はないのだけれど、問題は3年生の日本史。
まず外国籍生徒は教科書が読めない。すべての漢字にふりがなをふれば、ゆっくりゆっくりひらがなを読み上げることはできるけれど、意味は理解していない。

この合同授業で、私は毎回落ち込み、考え、とにかく試行錯誤している。

最近、NHKの「プロフェッショナル」という番組に、外国籍生徒に日本語を教えている夜間中学の先生が取り上げられていた。
その中学では1年生の間は、外国籍生徒だけを別にして日本語を教えているらしい。生徒はひらがなの読み書きも難しい子(大人も)ばかり。
でもほんとうに大変なのは、その生徒たちが進級して日本人との合同授業になったときだと思う。

私の試行錯誤の毎日を、少しずつ記録していこうと思う。

『快男児!』高橋銀次郎

大浦新太郎という人は初めて知ったのだけれど、実在の人なんですね。
事実をもとに書いたフィクションということだそうです。

さらさらと読めてしまうお話です。
文章の感じが「海賊と呼ばれた男」に似てる…。
主人公は、確かに「快男児」だと思うし、気持ちのいいほどに思い切った行動力のある人だと思うけれど、
この人の家族はたまったもんじゃないよなぁ~。
家族に相談するとかってことがまったくなくて、なんでも独断で決めちゃって、そしてすぐさま行動しちゃう。

最後にちょろっと、晩年は家族と穏やかに暮らしたっていうことが書かれていたけど、つくづく明治の男のお話だなぁって思ったよ。

逆に明治の女性のおかれた立場を考えて、私はその頃に生まれなくて良かったと思いました。

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『女子少年院の少女たち』中村すえこ

読み始めて、あっという間に読み終わりました。
少年院に送致された4人の少女へのインタビューをもとに構成されていて、出てくる少女たちは概ね想像できる生い立ちをしていました。
ただひとり、パパ活・ホスト通いでホストに600万円貢いだという女子高生の美和は、筆者もいうように「新人類」だと思いましたが…。
想像できる生い立ち、というのは、彼女たちはほぼ、ネグレクトにあってきたということです。
「加害者である前に被害者だった」「クスリと男はセット」。その通りなのだろうと思います。
少年院へ送致される少女たちは、ほぼ全員が虫歯だということからも、歯を磨くという当たり前の生活習慣のない環境にあったことがわかると書かれています。
自己責任とか、親が悪いとか、そう言うことはできても、その指摘だけで誰も寄り添わなければ彼女たちは救われません。
私自身、もし自分に安心して生活できる家がなかったらと考えて、彼女たちの苦しみが想像できました。
絶対的に自分を大事に思ってくれる存在であるはずの親から見捨てられ、時には虐待され…。
「普通」がどんなものかを知らないから、「普通」であることを要求されてもわからない。子どもは親を選べないのですよね。望まれて生まれてきて、愛されて育てられた私は、ただただ幸運だったのだと思います。
筆者も書いているとおり、「本当にきれいごとかもしれないが、人が立ち直るには『愛』が必要なのだと私も思う。」きれいごとではなく、ほんとうにそう思います。

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今ここにある危機と僕の好感度について

このドラマ、おもしろいです!
すごい役者さんがずらりと揃っていて、よくこれだけ集めたなぁ~って感じ。見応えあります。
アジってる大学生とか、立て看板の画に、私の大学の光景をちょっと思い出しました。あれから何年経ったことでしょう!
松坂桃李の情けなさ加減がまた良くて、土曜日の楽しみが増えました。

ところで私、最後にクレジットが出るまで、池田成志さん(知りませんでした)を生瀬勝久さんと思っていました💦

「レストラン『ドイツ亭』」アネッテ・ヘス 森内薫(訳)

アウシュビッツ裁判のことを、私は知らなかった。
(日本と違い?)歴史にしっかり向き合ってきたと言われるドイツでも、ホロコーストを知らない若者がいて、アウシュビッツ裁判はそんな中におこなわれた、実際の裁判らしい。

翻訳本は登場人物がごちゃごちゃになって好きではないのだけれど、この本はとても読みやすかった。

主人公のエーファは、当時のおそらくごく普通の若い女性。でも彼女がアウシュビッツ裁判の証人の通訳を引き受けたことで、知らなかったことを知って、悩んで、考えて、いろんな意味で成長していく様子がわかってくる。

両親が、アウシュビッツの食堂でナチスのために食事をつくる仕事をしていたことを知ったときの、エーファの驚愕。
選択できる権利はなかったという両親。
お父さんは家族と仕事を愛する、まじめな市民だよ。
でも戦争は、その普通の市民をも犯罪に加担させてしまうのね。そもそもそれは犯罪なの?

「当時合法だったものを、現在において非合法と考えることはできない」。その指摘には、そうかそうきたか!と思った。遡及処罰の禁止は知っていたけれど、そう考えると、戦争中の行為を戦後に有罪として裁くことはほぼできなくなるのでは。

最後。
エーファの両親が、娘の叱責にどれだけ心を痛めているかと思うとかわいそうでたまらなかったから、
エーファがユルゲンと復縁しそうな、そして家族のもとに戻りそうな終わりかたにほっとしたよ。

クリスマスにエーファが家に帰ったら、ご両親はすごく喜ぶよ。
エーファ、幸せになってね。

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「この上ない喜びと幸せ」

有吉弘行さんと夏目三久さん。結婚おめでとうございます。
いや~びっくりしたな~

数年前の妊娠&結婚報道は、なんだか歯切れ悪い感じでうやむやになっちゃったけど、ずっと付き合ってたんだなぁ。

「有吉さんと夫婦になり、この上ない喜びと幸せを感じております」ってあなた、あんな美女にこんなこと言わせてしまう有吉さん、すごいわ~

いいな~ いいな~
夏目三久ちゃん、ほんとに有吉さんのことが好きだったんだね。大好きな人と結婚できて良かったね。

才色兼備のお金持ちのお嬢さんを射止めてしまう有吉さん。
今回の報道で、有吉さんの名前が「ひろゆき」ではなく「ひろいき」だということを初めて知りましたことですよ。